そもそも給料っていう概念はある?
個人事業主の給与?
給与といえば、働いたら毎月もらえるお金ですよね。でも、個人事業主にはそもそも給与という考え方がありません。会社員なら会社が社員に給与を支払うといったように、給与には、支払う側ともらう側が存在していますよね。でも個人事業主は自分ひとりなので、誰かから給与を受け取るということがないのです。個人事業主にお金を支払うのは顧客ですが、それは給与ではなく報酬です。もし給与なら、顧客から雇用されているという解釈になってしまいます。では、個人事業主にとっての給与はどうなっているのでしょうか。
個人事業主の事業資金と生活費
個人事業主に興味のある人は、生活費の受け取り方が気になるかもしれませんね。報酬をまるで給与のように考えてしまうと、入ったお金を自由に使えるかのように思えますが、それはNGです。もちろん使うことは使えるのですが、きちんと仕訳をしておかなければなりません。まず、個人事業主としての自分と、個人事業主ではないプライベートの自分に分けて考える必要があります。生活費のもととなる資金は個人事業主の自分が持っていますが、生活費に変えたい場合、経理上はプライベートの自分に「貸す」という概念になります。
生活費は「事業主貸」
個人事業主が20万円の生活費を普通預金で受け取るとしましょう。その場合、勘定科目は「事業主貸」となります。つまり、「個人事業主の自分が、プライベートの自分にお金を貸しますよ」という考え方です。えっ!お金を貸すってことは返さなければならないの!?と思うかもしれませんが、そこはご安心を。あくまでも勘定項目が事業主貸という名目になるだけであって、借金をするという意味ではありません。事業主貸は、「事業所得に関するお金」と、「事業所得以外に関するお金を」区別するために使われる科目であると覚えておきましょう。ちなみに、事業主貸のお金は経費扱いにはなりません。
他に事業主貸にはどんなものがある?
経理上はしっかり区別しなければならないものですが、個人事業なので事業とプライベートの境界はけっこう曖昧だったりしますよね。わざわざ「今日は事業の買い物だけ」「今日はプライベートの買い物だけ」なんて分けてたらキリがないので、事業とプライベートの両方の買い物を一緒にするなんてよくあることです。ところが、この収支をごちゃごちゃにしてしまうと、経理が非常に厄介になるので要注意。事業用のお金からプライベートの出費をまかなったら、生活費と同じく事業主貸で処理しなければなりません。事業用のクレジットカードでプライベートの買い物をしたときも同じです。また、所得税の支払いも事業主貸扱いになりますよ。